クリーンスモークの用法いろいろ

 クリーンスモーク(くん液)が燻製品の製造に有力であることは、過去の記事で紹介しておりますが、用法によって燻製品と認められたり認められなかったりすることはご存じでしょうか。今回はそのあたりを絡めながら、各用法について解説していきます。

 消費者庁及び公正取引委員会の認定を受けた『ハム・ソーセージ類の表示に関する公正競争規約』のなかで、くん煙について下記ような解釈が示されております。

ポイントを要約しますと「くん液を用いる“液くん法”は、煙でいぶすのと同じく、くん煙方法のひとつです。ただし肉内部への使用は、くん煙として認められません」ということになります。もう少し分かりやすくするため、クリーンスモークの用法とともに解説していきます。

 まず、クリーンスモークの用法は、食品の表面に添加する【外添(がいてん)】と、食品の内部に添加する【内添(ないてん)】の2つに大きく分かれます。このうち【外添】は「くん煙」として認められますが、【内添】は「くん煙」の定義からは外れます。

【外添①】アトマイジング ※くん煙扱い  
専用のアトマイジング機で気化させたクリーンスモークを、煙と同じようにスモークハウス内に充満させて食材をいぶす用法。画像は、オリジナル機器 TARBER SMOKE MASTER が噴霧している時のもの。
【外添②】ドレンチング ※くん煙扱い 
水で希釈したクリーンスモークを、食品にかけ流す用法。全自動コンベアラインの『連続式』や、かけ流した後はスモークハウスに移して処理を進める『バッチ式』がある。かけ流した希釈液は、循環再利用するのが一般的。
【外添③】ディッピング ※くん煙扱い 
希釈したクリーンスモークに食材を浸す用法。他の調味液とミックスして使うことも可能。固形チーズのように、浸透に時間を要する食材に最適。画像は、モモ肉の特大ハムをラボでディッピングしている時のもの。
【内添①】練り込み ※くん煙非対象 
クリーンスモークを肉やチーズ等の食材に、直接練り込む用法。くん香の付与と保存性の向上には寄与するものの、スモークカラーの付与はできない。スモークオイルを使用すれば、酸味を抑えて香りのみを付与することも可能。
【内添②】インジェクション ※くん煙非対象 
インジェクターと言われるポンプ式の注射器で、ピックル液や調味液とともに、クリーンスモークを打ち込む用法。当社では、ピックル液との混合において安全性が認められている“pH 調整済みくん液”の使用を推奨。
【内添③】タンブリング ※くん煙非対象 
真空タンブラーを用いて、ピックル液や調味液とともにクリーンスモークを食材内部まで浸透させる用法。外部からの添加のため、一見外添扱いでも良い気はするが、煙が届かない内部まで浸透するため、内添扱いが一般的。

 細かく分ければ他にも用法はあるかもしれませんが、一般的な用法は上記の6つになります。紹介した「くん煙」か否かの判定については、あくまで畜肉加工品を対象とした場合の話であり、その他の食品・食材については、その限りではありません。アトマイジングやシャワリングはまだまだ奥が深いので、そのうち個別のネタとして取り上げる予定ですが、お急ぎの方は、お問合せフォームやお電話よりお気軽にご連絡ください。

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