天然香料としてのクリーンスモーク

 クリーンスモーク(くん液)が燻製品の製造に有力であることは、過去の記事で紹介しておりますが、今回は『天然香料/フレーバー』としての側面にフォーカスして解説していきます。

 リキッドスモークは400種類以上の化合物を有しており、解っている範囲では【40種の酸】【22種のアルコール】【131種のカルボニル】【22種のエステル】【46種のフラン】【16種のラクトン】【75種のフェノール】が特定されていると、米ジョージア大学のロメオT・トレド先生の文献で読んだことがあります。

 Red Arrow のクリーンスモークは、商品毎に様々な手を加えているので上記の限りでないこともありますが、そこは天然香料だけあって、多くの魅力的な化合物を有していることには変わりありません。特に香料業界の開発者の方からは、合成香料では表現しきれない複雑な香気を有していると、高い評価を得ております。

 香りの主要成分は一括りに『フェノール』と言われることが多いのですが、Red Arrow の古い友人からもらった資料のなかで、クリーンスモーク中で主要とされる7つの香気成分について紹介されていたので、下記表にまとめてみました。

Odor(香気)Flavor(風味)
ジメチルフェノールアロマ感・甘さ甘味・木炭
4-メチルグアイアコール甘さ・バニラ感・フルーティー
シナモン感・スモーキー・爽快さ
甘味・バニラ・カラメル
軽快なスモーク・香ばしさ
グアイアコールスモーキー・アロマティック
キレ・甘さ
爽快感・スパイシー
ソーセージ感・甘味・辛口
シリンゴールスモーキー・スパイシー
ソーセージ感・キレ・甘さ
スモーキー・新しい木炭
ウイスキー感・辛口・キレ
o‐クレゾールフルーティー・甘さ
カラメル感・ソーセージ感
甘味・キレ・香ばしさ
嫌なスモーク感
イソオイゲノール甘さ・フルーティー
バニラ・ルバーブ(大黄)
加水分解植物タンパク質感
燻製ハム・辛味・甘味
フェノールキレ・豊潤さ合成っぽさ・渋み
余韻のある後味

 『香り』には、鼻で感じる“Odor(香気)”と、口に含んだ時に舌と鼻孔で感じる“Flavor(風味)”があり、それぞれを別けて説明するところはさすがです。ただ、別けてみたものの結局どっちもほぼ同じような説明になっているところはご愛敬。全体を通して『スモーキー』『スパイシー』『甘さ』『キレ』というのが共通点としてみられますが、これらを有効活用できるのは、なにもハムソベ(ハム・ソーセージ・ベーコン)だけではありません。ソースやシーズニングなどの調味料、スナック菓子やおつまみ類、コーヒーやチョコレートやウイスキー関連製品でも、すでに多くの使用事例があります。

 合成香料のような特定の香気成分をピンポイントでお求めケースとはあまり相性が良いとは言えないかもしれませんが、“全体的な一体感を高めたい”とか“真似されにくい複雑な風味を付与したい”などの案件があれば、是非一度、ご相談ください。

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